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『花結び』編集後記

 

※こちらは2月24日21時~Twitterスペースにて「花結び」裏話トークとして喋ったことのこひら発言部分の一部をまとめたものです。

 

 

第2回ラジドリコロシアム参加、みかん畑の落とし物『花結び』トーク、始めます!

このスペースはラジドリコロシアムというイベントに参加させて頂いている作品「花結び」の裏話などをお話していくトークです。

 

●自己紹介

今回のラジドリコロシアムで初めてこひらを知って下さった方もいらっしゃると思うので自己紹介です。昔から小説とかを書いてはいたんですが、大学の4年間学生劇団をやって役者・裏方(脚本・演出・音響とか)その他もろもろを経験して演劇にのめりこみ、そこから社会人になって2018年頃からラジオドラマ・ボイスドラマ作りを始めました。

 

一応代表作となってるのは「JOKERS」っていう長編もので、You tubeチャンネル独立させてるやつがあります。2018年から作ってる、そのボイスドラマ作り始めた最初の作品なんですが、ありがたいことに去年完結したんですがご好評頂きまして、今サイドストーリー作ってます。

 

で、それだけじゃなくて色々作りたいなって2021年から個人チャンネルでも並行して作品作ってます。ワンテーマボイスドラマっていう、なるらんどさんという方が企画されてる7分で同じテーマでボイスドラマ作るっていう企画に参加したり、1本だけ古典作品、人形浄瑠璃文楽の「加賀見山旧錦絵」を現代語にアレンジしたボイスドラマ版「加賀見山旧錦絵」ってのも作ったりしてます。(母親2役・みくみくみさんご出演)お芝居好きで、小劇団のものからミュージカル、落語や人形浄瑠璃文楽など色々見ます。

 

 

●ラジドリコロシアムとは?

声優・ナレーターのベルべるさん、音響・他多岐にわたってご活動されている矧矢さんという方がラジオドラマを通してクリエイター同士の交流や切磋琢磨ができる文化を創り上げようと企画してくださったもので、1000円の視聴・投票権を買って、6チームのラジオドラマを聞いて、好きな作品3つに投票して優勝を決めるという大会です。公式HPはこちら

みかん畑応援チケットはこちらからお買い求めいただけます。

 

今回が第2回で、作品のテーマは「友情」です。

こひらはRTで第2回の存在を知ったんですが、「何で1回目を知らなかったんだ!」ってめっちゃ悔しかったです。

ラジオドラマ、ボイスドラマって結構色んな所で公開されてるけど、結局フォロワーさんとかキャストさんの繋がりでしか他の作品を知れないから、その垣根を越えて交流したり作品を聞けるのって本当に素晴らしいなと思って。

即応募しました。参加できるって決まった時はめちゃくちゃ嬉しかったです。

で、即脚本を書き始めました。

 

●『花結び』脚本について

ここではネタバレありで、どうしてこの作品を書こうと思ったかを話します。

あらすじとしては、香澄という主人公、兼業主婦さんですね。彼女の元に1本の電話がかかってきます。それは学生時代からの友達、梨花から。

彼女からの久々の連絡は、「赤ちゃんが生まれた」という報告でした。でも一方香澄は結婚4年目でまだ子どもを授かっていない立場で、婦人科に通っている。不妊治療をしているんですね。

複雑な思いを抱えながら、梨花と赤ちゃんに会いに行く、という話です。

 

ぶっちゃけて言うと実は自分自身の体験から書きました。

今結婚して4年目、なかなか授かれずに婦人科ずっと行ってるんですけど原因わからず、その中でどんどん仲いい友達が結婚して、子どもができていって。

私が結婚してからお相手と出会って結婚して子どもできた友達とかもいて、喜ばしいことなのにすごく複雑な気分になった。

大事な友達なのに、何で喜べないんだろう、私こんなに性格悪かったっけ?て思って。

ひどい時にはすれ違う子ども見るだけで泣きそうになる時もあって。

自分の状況によって、感じ方ってすごく変わってくるんだなって。

でもがんばって友達に会いに行くとやっぱり楽しくて、会いに行けない子なら写真見せてもらって、かわいいなぁって思って。

出産の時の話とか聞いたり写真見たら涙出てきて、本当に母親って命がけなんだなって思って。産んだ瞬間に意識失って、何とか帰ってきた友達とかもいるし。

妊娠を報告してこなかった友達の中には「言いにくかった」って子もいるし、「ちゃんと無事に産まれてから言いたかった」って子もいる。

確かに、授かったからって無事に産まれてくる保証はどこにも無いんですよね。

15%が流産してしまうってデータもあるし、それを経験した親御さんの悲しみはもう想像を絶します。考えただけで涙出るくらい。

だから、お互い色んな複雑な思いがあったんだよなって思った経験があります。

 

で、そういうのがあって、友情ってものについて色々考えてたんですよ。

そもそも社会人の友情ってすごく難しい。

こうやって演劇とか趣味が一緒ならいいんですよ、めちゃくちゃ話しやすい。

私も自分の企画のキャストさんと話したり、企画者同士で話すの大好きです。

キャストさんや企画者さんとのWebラジオとかもいっぱいやってきたけどめっちゃ楽しい。

そこには同じ、創作が好き、演劇が、声劇やボイスドラマ、ラジオドラマが好きっていう共通点がある。

でもそうでないと、女性は特にだけど独身か、独身だけど相手はいるとか、既婚者だとか、子どもがいるかとかで話題も全然違ってくる。

自分でその今のライフステージを選んでるのか、次にいきたいけど進めないのか、ていうのでも違う。

ライフステージが違う友達同士で集まった時の話題の振り方とかめちゃくちゃ気を遣う。

みんなが平等に話せてるかなとか気を遣う。

でちょっと疲れたなって思う時があって、ライフステージが一緒の友達だけで集まった方が楽な時もある。

ほんと、大人の友情って難しいよなと思う訳です。

そういう経験があった中で、ちょうどこのラジドリコロシアムがあって、テーマが「友情」ですよ。こりゃ書かない訳にはいかんでしょう。

とパソコンに向かいました。

 

 

中盤の、みおちゃんとおばあちゃん、そしてお母さんのくだりは実は夫のアイデアです。

ここのシーンの役割は「香澄を追い詰める」ことなんだけど、私が思いついた展開がちょっと弱かったんですよ。

で、夫に「何かもっと香澄を追い詰められる展開無いかなぁ」って相談したら、あれをアイデアに出してくれて。「ええやん」ってなって採用しました。

 

ここが決まってから、最後のはるくんとお母さんのくだりができました。

2つのシーンで、香澄の変化を出したかったので。

脚本はあえて短めに書きました。

最初にも言ったワンテーマボイスドラマっていう、同じテーマで7分っていう縛りで作る企画があるんですけど、そこで時間内に納めるにはこのくらいっていうのを計算しながらやってたんです。自分で読んでみて6分以内じゃ無いと無理だなとか。

でもシリアスなお話って1番分数納めるの難しいと思うんですよ。

だって絶対間がほしいじゃない。特に2人芝居のところとか。

だから絶対余裕がほしくて、あえて最低限の台詞にしました。

このお話は多分共感を呼べる、誰しも何か感じるところはあると思ったので、余白はそれを呼び起こす間にしてほしいと思って、台詞は削りました。

他の団体さんうまいこと15分ギリギリまで使っててすごいなって思ったけど、うちはうちでよかったなと開き直ってます。

 

●キャスティングについて

もう主人公の香澄役は思いついた瞬間に水沢とおるさんでした。

ワンテーマボイスドラマ「最後の遊園地」でお母さん役をお願いした時に、その繊細さとリアルさが本当に大好きで。

 

次に旦那さんの耕樹は、水沢さんのお声と合いそうで、穏やかで優しいお声の方、と思って。

みそ汁さんはその条件に合ってたっていうのもあるけど、そもそも私がラジドリコロシアムを知ったのがみそ汁さんのRTからだったので、一緒にやりたいなと思って。

 

最後に梨花。

水沢さんのお声と全然違う感じで、ちょっと儚い、ぽやんとした感じって言ったらあれだけど、馴染む感じ、リアルな感じ、ということでRさんにお願いしました。

Rさんも『ただいま介護中』っていうボイスドラマでお願いしてご一緒してたので。

あと中盤と最後に入るエピソードの方々は、今まで私の企画でご一緒した方の中から、是枝留さん、板チョコレートさん、AKIRAさん、永マツリさん、みくみくみさんにお願いしました。皆さんありがとうございました。

 

水沢さんとRさんとみそ汁さんはDiscordで通話稽古してから録ってもらったんですよね。

実はこういうのをやるのが初めてだったのですが、めっちゃ楽しかったです。

水沢さんの香澄とみそ汁さんの耕樹は最初から夫婦でした。すごい。

で、Rさんの梨花の距離感とかは稽古の時に調整してもらって。

口下手で申し訳なかったんですが、Rさんめちゃくちゃ素直に聞いて下さって、そしたらご提出時にめっちゃパワーアップされててびっくりした覚えがあります。

 

●編集について

キャストさんの演技を生かしたかったので、最低限のSEとBGMになるよう気をつけました。

その代わり、「SEでも演技をする」というか。例えば香澄が梨花の家のチャイムを鳴らす時とかはめっちゃ間を使ってます。ゆっくり歩いて、ちょっと戸惑って、腕を上げて、チャイムを鳴らす。そんな動きが目に見えたらいいなと思ってました。

あとは私がよくやるやり方で、BGMをあおる、フェードアップっていうか。演劇の音響やってた時にBGMあおるのめっちゃ好きだったので、今でもよくやってます。

 

 

●最後に

三谷幸喜さんの「ラヂオの時間」ってのがあって、見たことある人もいると思うんですけど。新人脚本家の脚本が通ってラジオドラマになることになって、しかも生放送。

リハはうまくいったんだけど本番までの間に、主演の女優さんがへそ曲げて「名前が嫌いだから変えて欲しい」って言ってきて。最初は名前だけの問題だったのにあれよこれよと色んなところを変えなきゃいけなくなって、舞台が熱海からニューヨークになったりシカゴになったり、パチンコ屋の出会いだったのがダムの決壊に巻き込まれての事故から助けられてってことになったり。

生放送は止められないから、何とか脚本とSEを駆使して乗り切っていくってお話なんですが。

たまにこれ観るとめちゃくちゃ感動しますね。やっぱり音だけの世界ってすごいなと思う。

で、この中に好きな台詞があって。

「人間に想像する力がある限り、ラジオドラマには無限の可能性がある」って。

本当だなぁと思うわけです。今回だって6チーム出たけど全然方向性違う訳で、聞いてたらめちゃくちゃおもしろかった。

音だけの作品を聞いてるのに、目の前に映画みたいな風景が浮かんだり、アニメみたいな映像が浮かんだり、ゲームの画面みたいなのが浮かんだりする。

本当に皆さんいい意味で自分の色を出してらっしゃって、本当に楽しかったです。

素敵な企画に出演させて頂き、ありがとうございました。

 

これからも続いていってほしいですね。

自分が出られるかどうかはその時の状況次第ですけど、出られなくてもリスナーとして楽しんで、ラジオドラマ・ボイスドラマ界を盛り上げて行けたらと思ってます。

 

 

こんな感じかな!長々とどうもありがとうございました!

ラジドリコロシアム、購入と投票が28日までということであと4日です!最後まで盛り上げていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします~!

 

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