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『加賀見山旧錦絵』編集後記~②演者・スタッフ編~

 

古典浄瑠璃ボイスドラマ『加賀見山旧錦絵』編集後記、今回はこのボイスドラマの空気感を見事に表現して下さったイラストレーターさんと、素晴らしい役を演じてくださったキャストの皆さんについてご紹介します。

 

●イラストレーター様について

まずメインビジュアルを担当してくださったイラストレーター、コノハさん。

「和風で華やかで、可能なら日本画っぽい古風なタッチで、でも古風過ぎない感じのイラストをお願いしたい」と思って探していたところ、コノハさんのイラストがどんぴしゃにハマりました。

コノハさんの日本画風イラストを目にした時は「ぎゃーーーー!!好きーーー!!!!」と内心叫んでおりました。笑

やりとりをさせて頂く中でも、「文楽作品の衣装と柄を参考にして欲しい」とのお願いを快く引き受けてくださり、また時代に即した髪型や衣装に仕上げて下さいました。

さらに役名を入れるというご提案もしてくださり、とても素敵なイラストに仕上げてくださいました。

目を引く素敵な日本画風イラスト、私の宝物です。

 

●演者様について

次に、キャストの皆さまについて、語りたいことをつらつら自由に書きます。

 

主役のお初役、イヅカさん。

私自身が元々『加賀見山旧錦絵』お初ちゃんの大ファンということもあり、募集当時は正直ぴったりな方が応募してくださるかどうか、少し不安がありました。

かわいらしさ、健気さ、強さを持っていて、絶望も怒りも全身全霊で表現してくれる方。

イヅカさんはそんな私の不安を突風のように吹き飛ばしてくれました。

私は応募音源の泣き演技を聞いた瞬間に、文字通り泣き崩れました。

役が決定し、最初のやりとりでは私が込めた、お初が尾上様に抱いていた想いについても理解してくださり、ありがたかったです。

劇中ではやはり、尾上様が亡くなられた際の絶叫の演技は圧巻でしたし、その後岩藤を討ちに行った時の静かに怖い演技もすごく好きです。

膨大な量の台詞の全てを、クオリティ高く演じてくださり、本当に感謝しています。

 

尾上役、葵シャルドネさん。

以前よりご活躍は目にしていましたし、出演されるボイスドラマなども耳にしていましたので応募があった時にびっくりしたのですが、応募音源を聞いて鳥肌が立ったことを覚えています。

本収録でも、尾上様の凛とした美しさ、優しさ、かっこよさ、その佇まい、お初や女中達に対する思い、その全部をお声1つで表現されておられました。

いやー、こんな上司がほしいですね。

特に、草履打ちの段で岩藤に草履でぶたれながら耐えるシーンは、その苦悶の表情が目に見えるようで、こひらは編集しながら思わず「ごめんなさい尾上様・・・」と呟いてしまいました。

あまり感情の起伏が激しい人物ではありませんでしたが、その少ない中でも滲み出る感情を表現してくださり、本当に素晴らしかったです。

 

岩藤役、みくみくみさん。

ここまで清々しい悪役も古典らしいのではと思うのですが、みくみくみさんは岩藤の年齢を踏まえつつ、本当に役を楽しんで演じてらっしゃるのがわかる演技をされていて、聞いていてとても気持ちよかったです。

嫌味な台詞もワンパターンにならず、色んな緩急をつけながら演じてくださり、まさに「ザ・お局様」という感じでした。

尾上様への嫌味な態度、女中達への見下した態度、弾正への仲間意識、その全てを表現してくださいました。

そして、そして!!殺陣シーンに入る前の高笑い!!あー!!

ここの演技が好き過ぎて、こひらは編集中、みくみくみさんが喋る台詞に合わせて口パクと顔芸で岩藤を演じるという遊びを生み出しました。笑

その後の手負いの演技も素晴らしく、大興奮でした。

 

お梅役、田中さん。

お初と同じく尾上様に仕える、しっかり者の先輩女中、お梅。

田中さんはとてもぴったりなお声と演技で、一声聞くだけで彼女の性格やお初・おみつとの関係性がわかるようでした。

草履打ちの段で岩藤とその女中達に対峙しようとする所の演技がとても好きですね。

 

おみつ役、恋摘もなかさん。

以前自企画(『JOKERS』)でもご一緒させて頂き、登場作品も拝聴していましたが相変わらずのお声幅と演技幅・・・!

お梅と共にお初を見守る先輩役を、優しくやわらかく、芯の強さを持って演じてくださいました。

こ、こんな先輩がほしい・・・!と思いました。

 

弾正役、KKさん。

KKさんも自企画(『JOKERS』)で、現在進行形でご一緒させて頂いているのですが、悪役にぴったりすぎるこのお声・・・さらに演技。

毎回収録時には数パターンの演技を収録されており、いつも楽しく悩んでいました。

登場シーンは1回ですが、その1シーン、数台詞だけで「こいつが黒幕だ」と思わせられる、強烈なインパクトを残してくださいました。

 

安田庄司役、しじみさん。

ちょこちょこと台詞に役名のみ登場し、最後にヒーローのようにかっこよく登場し、おいしい所を持って行く安田庄司。

こちらも1シーンだけでしたが、しじみさんの「静まれ!」の一声は、「やっと助けがきた!!」と安心させてくださいました。

またお初を気遣う優しい演技も素敵で、最後にお初を中老役に任命する所では、この作品をしっかり締める役割を果たして下さいました。

 

語り手役、ヨッシ~バランさん。

語り手役は性別不問と言うことで様々な方から応募があったのですが、要所要所に入る、物語を引き締める大事な役ということで、それにぴったりなお声と語り口調をされていたヨッシ~バランさんにお願いしました。

少ない収録数ながら多くの注文を出してしまいましたが、全部に応えてくださり、予想以上の語りを披露してくださいました。

 

お雪役、穂月さん。

「岩藤付きの女中はいい所のお嬢さんでちょっと嫌味な感じ」と決めていたのですが、穂月さんはぴったりのお声と演技だったのでお願いしました。

登場シーンは少ないですが、一声一声に岩藤への忠義心や性格が表れていて、とても素敵でした。

 

お琴役、しがないななしさん。

 岩藤付きの女中の一人のお琴、上品かつかわいらしく演じてくださいました。

少ない台詞の中で、岩藤を絶対だと思っている様子を表しておられました。
嫌味になりすぎない程度のツンツン具合がとてもよかったです。

 

町人役、黒沢廣さん。

 岩藤に金をせびる町人役は、独特のお声をお持ちの黒沢廣さんにお願いしました。下っ端感を滲ませつつ、少し嫌味っぽい、味のある演技が素敵でした。

 

手下役、ゼフさん。

 最後のシーンで登場したと同時に岩藤に殺されてしまう、という不憫な手下役。

ゼフさんは下っ端過ぎず玄人過ぎない、ちょうどいい演技をしてくださいました。

 

女中A役、橘クレアさん。

 後編最初のシーンでひそひそ話する女中をお願いしました。

「噂話が好きな女子高生イメージ」という注文通り、自然な演技をしてくださいました。

 

女中B役、浅間日景さん。

 浅間さんもひそひそ話をする女中役をお願いしました。

「こういう女の子いるわ・・・」と思ってしまう女の子の演技でした。

 

侍1・通行人2役、JJ池田さん。

 使者の来訪を告げる侍、そしてラストで岩藤を討ったお初を見つける侍、お初とすれ違う通行人役をお願いしました。

凛としたお声が、侍役にぴったりでした。

 

侍2・通行人役、ティオンヌマンさん。

 自企画(『JOKERS』)でもご一緒しているティオンヌマンさん。

岩藤を討ったお初を見つける侍と、お初とすれ違う通行人役をお願いしました。

 どちらも自然に演じてくださいました。

 

 

キャストの皆さんの演技が本当に素晴らしく、「この方々の演技を生かさねば・・・!」と身が引き締まりました。

皆さま、ご協力誠にありがとうございました。

この方々のボイスをそれぞれご提出頂き、私は編集作業に移りました。

次のブログでは編集時のこだわりなどについて書かせていただきます。